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杉本 雅樹; Wach, R. A.; 吉川 正人
no journal, ,
ケイ素高分子を繊維化し、融点以上に加熱しても繊維形状が保たれるよう処理(不融化)した後、不活性ガス中1000C以上で熱処理してセラミックスに転換(焼成)すると、高強度で高耐熱性の炭化ケイ素(SiC)繊維を製造することができる。日本原子力研究開発機構では、この不融化処理に電子線による橋架け処理を用いることにより、耐熱性を1700Cまで高めることに成功した。こうして実用化された超耐熱SiC繊維はセラミック複合材の強化繊維に応用され、高温ガスタービンなどの開発が進められつつある。これまでの研究から、ケイ素高分子から合成されるSiCセラミックスの非晶質領域には、水素ガスを選択的に透過させる性質のあることがわかっている。したがって、浄水器で用いられているような中空糸をSiC繊維で実現できれば、大きな表面積を活かした高効率水素分離フィルターの実現が期待できる。本報告では、電子線の照射効果を用いて繊維化したケイ素高分子を中空化する技術を紹介するとともに、得られたSiCマイクロチューブ壁厚の制御方法について解説し、水素分離フィルターに用いるSiCマイクロチューブの開発状況について解説する。
鳴海 一成
no journal, ,
放射線抵抗性細菌の放射線耐性に重要な役割を果たしている遺伝子を同定した。この遺伝子から作られるタンパク質の機能を解析した結果、DNA鎖切断の修復を高効率で促進することがわかった。われわれは、このタンパク質をPprAと命名した。DNA鎖切断の修復は、DNAクローニングなどに使われる基本的な遺伝子工学技術である。DNAクローニングでは、DNAリガーゼというDNA修復タンパク質が汎用されており、DNAリガーゼを用いたDNAクローニングキットが国内外の試薬メーカーから多数販売されている。そこでわれわれは、PprAタンパク質のDNA修復促進活性を利用し、DNAリガーゼと組合せることで、新しいバイオ研究試薬が作れるのではないかと考えた。その結果、2005年11月に、原子力機構から実施許諾を受けたバイオ研究試薬メーカーであるニッポンジーンから、PprAタンパク質を利用した高効率のDNA修復試薬「TA-Blunt Ligation Kit」が発売になった。この新製品は、従来品と比較して、修復反応終了時間が約32倍短縮され、DNA修復効率が約10倍であるという特徴を持つ。今後、このDNA修復試薬は、バイオ研究に幅広く用いられ、遺伝子診断や新薬などの開発に役立つと期待される。
笠井 昇
no journal, ,
放射線を利用した高性能材料の研究開発から派生して技術開発,製品化(実用化)に発展した超耐熱性炭化ケイ素(SiC)繊維について技術移転までの事例紹介を行う。